それは多分、料理と似たようなもの。
普通に美味しい料理よりも、少し辛かったり不味かったりした方が人の脳に残り易いもので。

それと、似てる気がする。




「つまんねぇやつ」

足元に転がった男の体をごろりと足で転がし、蛇骨が息をつく。
男は目を見開け、物言わぬ姿で横たわっていた。

…顔は中々だったのにな。

武士ってものはもう少し面白いやつらだと思ってたが、何だか興ざめだった。
自分が刀を持って近寄っても、屈しないその精神。(確か、武士道というものだっけ?)
…それが、中々面白いものだったのに。

今日の男は、そうではなかった。

仲間が皆殺されたのを見ると、恐怖で顔を青ざめ、蛇骨の前にひざまずいた。

どうか殺さないでほしい、何でも言うことは聞くから。

冷えた目をする蛇骨にかまわず、蛇骨にしがみついた。
うざそうに蛇骨がその体を蹴り上げても、何かに狂ったかのようにまたすがりついてきた。

蛇骨は素直な男はあまり好きではなかった。

そりゃあ、ヤる分にはすんなりいくかもしれねーけど、それじゃあつまんねえじゃん。
抵抗されたり、死ぬ直前まで屈しない態度の方がそそられる。
屈辱にそまるその眸を見ながら、ゆっくりとその体を汚していく。

それの方が、面白いじゃん?
従順にされても、…味気ねえよ。

だから、殺した。
味気ないことは嫌い。おれは、面白いことが好き。
つまらない男でも、血で着飾ってやれば少しはましだろ。

ああ、無駄に火照った体がうざったらしい。
帰ったら、兄貴に抱いてもらおう。