おれ、煉骨の兄貴のこと好きだよ。
そう言って屈託なく笑う蛇骨が、今でも目に焼きついている。
その言葉を聴くたびに、その蛇骨の目を見るたびに、“嘘だろう”という邪推は消えるどころか濃くなっていくだけで。
生前から、あいつは俺にくっついてばかりいた。何かあると兄貴、兄貴と。寒い日でも暑い日でもべったりとくっついてきていて。
でも、それは大兄貴がいない時だけ。
蛇骨が大兄貴さえ目にすれば、ふらりと離れていく。大兄貴にしがみつき、べったりと見ているだけでも鬱陶しいほどに甘えて。
大兄貴も、それに答えて蛇骨を甘やかす。
そんな様子をいつも見てきたせいか、“物事を素直に受け取る”ということが俺にはできなくなっていた。
いつも、もやもやとしたものが体を縛り付けて。
嫉妬というには軽いような、ねっとりとした重たいもの。――――きっと、これが憎しみというものなのだろう。
何もかもを崩す、性質の悪い憎しみ。信頼も、愛情も、慈しみの心も。(元々、俺にそんなものがあるとも思えないが)
四魂のかけら。
蛇骨、お前を四魂のかけらと共に大兄貴に渡すなんてことは絶対にさせない。
四魂のかけらは俺が手に入れる。
そして、蛇骨。
お前は…俺の手で、“永遠”にしてやる。
俺の憎しみを昇華させるには、これが最良の方法。