「これからずっと。あんたについていくと誓おう」

昔誓った思いは多分本気。
この人なら、と感じた思いは多分本気。


幼いながらに強く、凛とした態度。
穢れたものをよせつけない、その怖いまでの圧力。

その目は何を見ているのか。
何を考えているのか。
何をするつもりなのか。

あの時から、“勝てない”と感じさせられた。
この人には、一生“勝てない”と。


だから。
それだったから。


「あんたに一生ついていこう」


あんたが何処まで行けるのか。
あんたが何処で何をして、それをどう思いどう感じるのか。
そして、その時俺は何を感じるのか。

それが知りたいから。

最初は、きっと純粋にそう感じてただけだった気がする。

けど。

年を重ねる毎に、幼い首領と共に時を過ごす毎に。
この思いは、どんどんと穢れを増した。

最大のきっかけは、きっとあの一言。
寒い夜、俺があいつと杯を交わしていた時。

あいつは何でもないかのように、あっさりと言った。

「…煉骨。俺、蛇骨を抱いちまった」

…お前はどういう反応を俺に期待していた?

薄くはにかんでそう言った首領に、俺はそうか、としか言えなかった。

…その時から、白の思いは黒の思いへ変わった。


「俺はあんたに忠誠を誓おう。…ずっと、一緒にいると」

そう言った言葉は、嘘じゃない。

ただ、想いが少し変わっただけで。


あんたの死に様を、この目で見据えよう。

その時、俺が何を思うのか。

…ただ、それが知りたいから。